我が家の既往歴ノート。

子どもや私の病気の既往歴を綴ります。

喉頭蓋嚢胞(こうとうがいのうほう)で手術をしました。

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喉頭蓋嚢胞(こうとうがいのうほう)で3回手術を経験した話

喉頭蓋嚢胞という病名は、なかなか聞き慣れない病名だと思います。この病気には私自身、随分悩まされました。今も完治はしていません。

命に直結する病気ではないものの、この病気を持っている人は辛い思いをしていると思います。中には手術の話が出て迷っている方もいるのではないでしょうか。

過去に3回喉頭蓋嚢胞の手術をした私の経験を共有するので、手術をするかどうかで迷っている人や息苦しいなどの症状で悩んでいる人は参考にしてみてください。

喉頭蓋嚢胞とは

喉頭蓋とは、食べものや飲みものを飲み込むときに、気管に食べ物や飲み物が流れ込まないように閉じる蓋の役割をしている部位です。喉頭蓋の部分ににできる、中に体液がたまった袋状のものが喉頭蓋嚢胞です。

喉頭蓋嚢胞が大きくなると、の違和感呼吸の苦しさ、飲み込み時のむせ(誤嚥嗄声(声がかれる)などの症状がみられます。

私も喉の違和感息苦しさむせを経験しました。症状はとくに夜間にみられ、言いようのない喉の閉塞感に悩まされました。

喉頭蓋嚢胞(こうとうがいのうほう)が初めて見つかったときの状態

私の喉頭蓋嚢胞(こうとうがいのうほう)が見つかったのは、別の病気で耳鼻科を受診し、喉を診てもらったときです。

「大きい嚢胞(のうほう)があるからとった方がいい」と言われ、自覚症状はなかったものの、手術をすることになりました。そのときの嚢胞の大きさは1~1.5cmだったそうです。

今から思えばそこまで大きくはない大きさです。今、この大きさで手術を勧められれば「もう少し様子を見ます」と答えています。

喉頭蓋嚢胞の手術、1回目

1回目の喉頭蓋嚢胞の手術は、今から20年位前のことです。全身麻酔の手術で喉頭蓋嚢胞をとることになりました。

全身麻酔下の手術なので、手術中の痛みはありませんが、手術後、目が覚めてからがものすごく喉の痛みが強く、地獄を味わいました。水すら喉を通らない痛みです。

手術後に主治医から受けた説明では「嚢胞の根元が喉頭蓋にくっついていたため、切除すると嚥下障害が残るリスクがあった。そのため、切除はできなかった。嚢胞の袋を破って中に入っていた液体を出し、袋をできる限り取り去った。」といわれました。

風船に例えると、中に水の入った風船を割って中の水を抜き、できる限り根元のくくっているところ以外の部分を切り離したというイメージです。

「切除したわけでないのに、なぜこんなに痛いんですか?」と医師に尋ねたところ、「喉に器具を突っ込んでいたから、器具で傷ついた痛みが大きい」といわれました。

痛みがひどすぎて食事や水分をとれず、食事がとれるようになるまで術後1週間程度入院していました。本当に苦しい入院でした。

退院後の外来受診で喉頭蓋嚢胞が再発

退院後、1~2週間してからの外来受診で「喉頭蓋嚢胞が再び出きている」といわれました。「全身麻酔で手術までして、あんなに痛い思いをしたのにたった1~2週間で、また嚢胞ができたって何?」とひどくショックを受けました。

医師からは「これだけすぐにできるのならば、経過観察で大きくならないかをみていこう」といわれ、そこからは経過観察が始まりました。

喉頭蓋嚢胞の手術、2回目

1回目の手術から約5年たったころ、夜寝るとき、仰向けに寝転ぶと喉の苦しさを感じるようになりました。一度気になり始めると、昼間でもなんだか喉に違和感を抱くようになり、耳鼻科を受診しました。

嚢胞が1.5cmほどに膨らんでいるとのことで、外来で局所麻酔下にて嚢胞の袋を破る手術をすることになりました。

局所麻酔で袋を破るだけと聞いていたので簡単に終わるかと思っていたら、大間違いでした。局所麻酔後に先端にはさみのついたスコープを鼻から入れて、嚢胞の袋を破るのですがなかなか破れません。

医師によると「一回破っているから袋が硬くなっていて、なかなか破れない」ということでした。「先生まだですか?」と聞きたくなるほど破れませんでした。

私の中では嚢胞にハサミを突き刺したら、風船のようにパンと膜が破れるイメージだったのですが、ハサミで袋を挟んで引きちぎっている感覚でした。

その引きちぎっている感覚が喉に伝わってきて恐怖を覚えました。スコープが喉に入っているので嗚咽も止まらず、勝手に涙は出てくるし、本当につらい時間でした。

医師が格闘してくれたおかげで嚢胞は無事に破れ、しぼんでくれました。今回の手術は、傷が少なかったこともあり、手術後の喉の痛みはあまりなく、喉の違和感、息苦しさも解消されました。

喉頭蓋嚢胞の手術、3回目

外来での2回目の手術が辛かったので、しばらくは、喉が苦しくなっても我慢しようと思っていました。2~3年後、再び喉の違和感寝たときの息苦しさを感じるようになり、耳鼻科を受診しました。

嚢胞は1.5cmほどに膨れているとのことで3度目の手術を外来受診にて行うことになりました。2回袋を破っているため、だいぶん袋が硬くなっているとのことでした。

3回目の手術となるこのときは、口から管子(かんし)を入れて直接嚢胞を挟み、引きちぎるといわれました。

説明を聞いただけでかなりの恐怖でしたが、なんと手術当日、主治医の足にはギプスが巻かれているではありませんか。

「先生、その足で踏ん張れますか?」と心の中で叫びながら、手術を受けました。大きく開けている口は辛く「先生の手元がくるって嚢胞以外のところを挟まれたらどうしよう」と恐怖しかありませんでした。

2回目より、嚢胞の挟まれているところも痛くて、嗚咽も止まらず「早く終わってくれ」とずっと心の中で叫んでいました。無事に終わったことに感謝しながら「もう、次こそは嚢胞が膨らんでも、苦しくても何があっても我慢する」と強く心に誓いました。それぐらい外来での3回目の手術は辛い体験だったのです。

その後の喉頭蓋嚢胞の経過

2~3年前に近所の耳鼻科で喉の状態をスコープで診てもらいましたが、1cmぐらいの喉頭蓋嚢胞があるということでした。医師によると、嚢胞は大きくなったり小さくなったり変化しているので、大きくなったときに違和感が強くなるのだそうです。

今は喉の違和感はありませんが、食事時にむせやすいです。また大きくなっているかもしれません。

喉頭蓋嚢胞と付き合う覚悟を決める

3回の手術を経験して、多少症状が出ても、何もせずに嚢胞とこのまま付き合っていこうと覚悟しました。手術をしても、楽になるのは手術後数日間だけです。すぐに嚢胞は再生されます。

再生されるたびに袋を引きちぎって破いても、嚢胞はまた袋の強度を上げて挑んでくるのです。だったらそのままにしてやろうと思うようになりました。

コロナ禍もあって、ここ数年は嚢胞の状態を確認できていませんが、今も私の喉頭蓋には嚢胞が潜んでいることでしょう。コロナが落ち着いたら近所の耳鼻科で状態を確認してもらおうと思います。